ハムスターが実は寒さに弱い生き物だって、知っていましたか?
ジャンガリアンの毛は寒くなると「冬毛」と呼ばれる温かい毛に生え変わるので寒さに強いと思われがちですが、ハムスター はそもそもあまり寒さに強い生き物ではありません。
気温(室温)が下がった中でいると風邪をひきやすいですし、もっと寒くなると、最悪の場合、擬似冬眠(低体温)状態になってしまって、命の危険があることも。
でも安心してください!
対策をきちんとすれば、あなたのハムスターも健康に冬を越すことができます。
そこで今回は、ハムスター飼い主歴9年、いまも現役で6匹を飼っている飼い主が実際にやって効果のあった、ハムスターの防寒対策(保温・断熱)をまとめます。
はむほっぺ
吹寒いのは苦手だから、守ってね!
誰でも実践できるカンタンな方法ばっかりなので、参考にしてください!
いぬまゆげ
なぜ寒さ対策が必要なの?
ハムスターの種類によって多少前後しますが、ハムスターが快適に生活できる気温は20〜25度。
18度を下回ったぐらいから風邪をひきやすくなり、10度を下回ると低体温症のリスクが出てきます。5度くらいになると、かなり危険な状態です。
ここまでいくと体も冷たくなり、最悪の場合死んでしまうリスクがあるので、ハムスターを飼うためにはそもそも適切な室温を保っていなければいけません。
ハムスターは1年中、室温20〜25度が必要
住んでいる場所によって必要な対策は違う
たとえば、建物の1階と2階では温度や冷え方が違いますよね。
- 一戸建てか集合住宅か?
- マンションかアパートか?
- 壁や床は重厚か薄いか?
もっというと、雪が降って氷点下になる北海道などと東京、真冬でも平均20度前後ある沖縄とでは、必要な対策が全く異なります。
【重要】まずは温度計を設置しよう
まずは、ハムのケージ内に温度計を置きましょう。住んでいる場所がどんなところであれ、ケージ内の温度20度〜25度を目指すことに変わりはありません。
いま何度なのか?ハムスターにとって適切な気温になっているか?正しい認識で判断できるためには、まず温度計が必要です。
ちゃんと計れれば、高級なものである必要はありません。100均でもよいので、とにかく温度を確認できる状態にすることが大切です。
温度計があればやりすぎも防止できる
言いかえれば、目安の温度をこえるようなら(26度以上になるようなら)やりすぎなので、複数の防寒対策をどの組み合わせでやるか、温度を見て判断しましょう。
温度が高すぎると熱中症になるなど別のリスクが出てくるので、半袖でいられるほど暖房を高い温度に設定してしまう人は気をつけましょう。
はむほっぺ
ハムスターは温度管理がすごく大事なの
見落とされがちですが適度な湿度があることも大事なので、湿度も計れる温度計(温湿度計)がいいですね!
いぬまゆげ
寒さ対策7つの基礎編
それでは、実際にどんな寒さ対策が必要なのかを見ていきましょう。これは、どんな飼い主さんもやるべきといえる基本の対策です。
ただし、あくまでも目安は20〜25度なので、目標ラインをクリアできれば必ずしも全部やる必要はありません。
- エアコンの暖房を24時間使う
- 床材の量を通常の3〜4倍にする
- 暖かい寝床を用意する
- ケージをドアや窓から離れた場所に置く
- ケージを台の上など床から離して置く
- ダンボールや断熱材を敷く・囲う
- 毛布・バスタオルなどでケージを覆う
エアコンの暖房を24時間使う
多くのハムスター飼い主の間で、冬に限らず基本中の基本とされている、24時間365日エアコンフル稼働。
「ハムスターを飼うならエアコンをフル稼働させる覚悟をするべき」と言い切る飼い主さんもいるほどです。
ハムのいる部屋を暖房管理して、常時部屋ごと20〜25度に設定(※夏は同じ温度で冷房)するのは、最も信頼度の高い防寒方法です。
ただし、エアコンだけに頼ることは絶対にしてはいけません。
なぜなら、突然の停電や故障、間違えてスイッチを切ってしまった時などに、寒さに対して無防備になってしまうからです。
設定温度をそれほど高くしなくても、あるいは「強風」を「弱風」におさえるなどしても一定の温度が保てるように、エアコンと別の防寒対策を複数併用することをオススメします。
はむほっぺ
エアコンフルパワーで24時間365日稼働したら、電気料金も大変なことになるからね……
あと、ハムスターは風が苦手だから、直接当たらないようにしてね!
いぬまゆげ
東京23区内にあるマンション3階の筆者宅では、2019年2月の電気料金が約12,000円(通常の3倍)になりました
床材の量を通常の3〜4倍にする

床材の量を増やすと、保温効果が高まります。人間でも、床に直接座るより、じゅうたんを敷いてクッションの上に座った方がずっと暖かいですよね。
それにハムスターは、床材を掘ってその中で眠ることがあります。
ちょっと掘ったらすぐケージの底が出てきてしまうようだと、せっかく暖かいところにもぐって寝ようとしたのに床が冷たくて冷えてしまった……ということになりかねません。
普段が2〜3cmの厚さで床材を入れているとしたら、その3〜4倍(6〜12cm)程度の床材を入れてあげるのを目安にしましょう。
ただし、ハムは自分で寝やすいように、暖かいようにある程度すみかを整える生き物なので、ケージの全体に床材が10cmもある必要はありません。
週に1回掃除するたびに床材を半分くらい交換して、その度に10cmくらい入れてたら、コストが大変なことに……
いぬまゆげ
暖かい寝床を用意する
床材だけでなく、暖かい寝床(ハウス)も用意してあげましょう。木でできた家型など色々なタイプのものがありますが、陶器のものは基本的に夏用だと思った方が良いですね。
温度管理を完璧にして陶器のものを使い続ける方法もなくはないですが、万が一温度が下がってしまった時に、陶器のハウスは結露ができるなど、影響を受けやすいのでおすすめしません。
はむほっぺ
冬に陶器のカップとか触ると冷たいよね!
ケージをドアや窓から離れた場所に置く
ドアや窓は、冷気が一番入って来やすいところです。もしあれば、換気口なども同じですね。この付近は冷たい風が通って必然的に温度が下がりやすいので、ケージを置かないほうが賢明です。
ケージの置き場所は、ドアや窓から離れた、風の通り道になっていない場所を選びましょう。
ケージを直接床に置かない
基本的に暖かい空気は上に行くので、同じ部屋の中でも上側と下側では意外と温度が違うものです。しかも、特に建物の1階にある部屋だと、床はかなり冷たくなるはず。
その結果、ケージ内も冷やされてぐっと温度が下がってしまうことがあります。ケージは棚やテーブルなど何かしら台の上に置くのがオススメです。
ダンボールや断熱材を敷く・囲う

床近くに置かざるを得ないときは、ケージの下に断熱材を敷くことでかなり床から冷気が伝わるのを防げます。また、ケージのまわりを囲ってあげると、風除けや保温にもなります。
ケージを囲う場合、空気穴をふさがないように気をつけよう
ホームセンターなどで簡単に手に入るものは、例えば「アルミ保温シート」ですね。
手頃な値段で手に入れられますが、難しい場合はダンボールや発泡スチロール、あとは緩衝材のプチプチなどでもある程度代用が可能です。
性能的にはもちろん断熱用途で売っているものの方が優秀なので、予算とスペースとのかねあいで判断しましょう!
毛布・バスタオルなどでケージをおおう
毛布やバスタオルなどをケージにかけるのも、防寒対策として有効です。ストールを羽織って温かいのと、同じですね!
ただし、ケージ全体をおおってしまうとハムが昼だか夜だかわからなくなってしまうのと、窒息も怖いので、かける範囲は半分くらいを目安にしましょう。
毛布でもバスタオルでも、空気穴を複数箇所あけておきましょう
以上が、ハムスターの防寒対策の7つの基礎です。どれもちょっとした工夫や、意識で変えられるものばかりですね。
基礎とは言いつつ、これらの対策をすべてやれば、ほとんどの場合で必要十分な暖かい環境をハムに用意してあげられるはずです。
寒さ対策上級編
ここからは、寒さ対策上級編です!
地下型のケージを使う
木や紙の床材を使わずに、土を使ったケージを使用する方法です。寒さ対策として実践する人は少ないと思いますが、土の中は、基本的に温度が一定です。
約17度で保たれているので、これだけで十分暖かいというわけではありませんが、逆にこれより極端に下がることがないので、防寒対策としても利用することができます。
ただ、一般的な木や紙の床材に比べてやや管理が難しいのと、そもそも普段から土の環境でハムスターを飼っている飼い主さんはとても珍しいと思います。
大きな切り替えも必要になりますし参考にできる事例も少ないので、上級者向けになります。
ペットショップを巡っても土で生活しているハムスターは数百匹に1匹いるかいないかですが、東京都内だと渋谷のペットファースト東急ハンズ渋谷店で見ることができます。
食べ物を高カロリーにする
寒くなってくると食欲が減る人がいますが、ハムスターでもまさに同じようなことが起こる場合があります。食べ物から十分なカロリーが得られないと、体温が下がってしまいますよね。
つまり食欲が落ちても体温を維持するためには、高カロリーなものを食べさせてあげて、発熱を促すのが有効です。
高カロリーなハムスターの食べ物:ヒマワリの種、麻の実、チーズ、ヨーグルト、ペットミルク、卵の白身、ナッツ類、その他お菓子類など
注意が必要な防寒対策
電気毛布
電気毛布は、ケージの1/2〜2/3を目安にケージの上からかけてあげるとハムスターがすごく暖かそうにしていると、ハム飼い主の間でも人気の対策法です。
安いものだと2,000円前後で購入できて、暖房をあまり使わなくなるから電気代も抑えられるとなったら、人気の理由もわかりますよね。
さらに、擬似冬眠から蘇生を試みる時には最も有効な手段の1つです。ただし、注意しないといけないポイントが多くあります。
絶対にこれ1つだけで使用しないこと
電気毛布は、ケージ全体ではなく半分くらいを覆うのが基本の使い方です。
なので、適温で温まっている時は良いですが、毛布がかかっていないところで眠ってしまって、他の防寒対策は何もしていなかったら、低体温になる危険性があります。
なぜなら、電気毛布は室温全体を暖めるアイテムではないからです。電気毛布だけの防寒対策はリスクが大きいので、必ず何かと併用しましょう。
ハムスターの行動に期待するのはリスク
逆に、暑くなりすぎてしまう場合もあります。「ケージの半分くらいを覆う」のは、そもそも暑くなったらハムたちが逃げられるようにと考えている使い方です。
はむほっぺ
でも、それって大丈夫なんでしょうか…?
人間でも、たとえば温度を高く設定したこたつで寝てしまって体調が悪くなってしまうことがあります。ハムたちは、暑くなったら必ず暑くないところに避難してくれるでしょうか…?
ハムたちの行動に期待している部分が大きいので、もし使うなら、目の前で見守っている時だけ使うことをおすすめします。
出かける時や就寝時などの見守っていられない時に使う気には、飼い主としてなれません。
アイテムとしては電気代も抑えられてとても優秀なものだと思いますが、ハムスター用に作られたものではないので、リスクを十分考慮するべきです。
パネルヒーター
全ての製品がというわけではないのですが、パネルヒーターは低温やけどや感電、火災の事例が報告されています。
死亡リスクがあるとわかっている以上、どんなにあたたかくても使うべきではないというのが飼い主としての筆者の見解です。
- 感電…ハムスターがコードを噛んでしまうことによって発生
- 火災…感電によって床材などに漏電・引火して発生
- 低温やけど…ヒーターが熱くなりすぎてしまったり、長く当たり続けてしまうことで発生
火災なんて聞いたことがない、という方もいますが、こちらは2012年のセコム社のツイートです。
はっきり「目立つ出火原因はペットのハムスターがコードをかじる」と書いてありますね。もちろん、噛むハムスターも噛まないハムスターいると思いますが、噛まないと言い切れない以上はリスクです。
たしかに、コードをケージの外に出すか、あるいはパネルヒーターをケージの下から当てれば火災や感電に関してはクリアできます。
でもそれだけでは、低温やけどは完璧にはクリアできません。基本の使い方は電気毛布と同じで、ケージ全体ではなく一部分で使用して、暑くなった時の逃げ場を作ります。
ハムスターの行動に期待している要素が強いのは、飼い主として率直に怖いよね……
いぬまゆげ
はむほっぺ
寝入っちゃったりして長時間動かなかったら、低温やけどになる可能性あるよね……
そんなことにはなってほしくないですし危険性は低いかもしれませんが、筆者は使わないことに決めました。
やってはいけない防寒対策
わた
もふもふあたたかい綿(わた)。ペットショップでも色々な種類が売っています。すごく暖かそうですし実際ハムも暖かくて大好きなようですが、致命的な欠点が2つあります。
- 誤飲した時、腸閉塞につながる
- 足に絡まって怪我や骨折につながる
お腹の中で詰まってしまう
わたは、本来ハムスターが食べるものではないのですが、ほおぶくろにいれて運んだ時にうっかり飲み込んでしまうことがあります。
飲み込んでもウンチで外に出れば問題ないのですが、残念ながら消化できず、お腹の中で詰まってしまって、腸閉塞を起こしてしまう事例が報告されています。
足に絡まってしまう
主に子ハム(赤ちゃんハムスター)やドワーフ系のハムスター(ジャンガリアン、キャンベル、ロボロフスキーなど)に関係することですが、足に絡まって骨折や怪我などの事例が報告されています。
それに、ノア動物病院の音成伸悟獣医師の記事にはこのように書いてあります。
綿は特に巣材として売られているようですが、特に仔ハムスターやドワーフ種などでは繊維が足に巻き付いて血行障害を起こすといった事故もよく見かけます。
このように、綿はハムスターにとってリスクが大きいものです。
ペットショップで「竹綿(たけわた)」や「綿の実」といった製品をよく見かけますが、他の防寒対策で十分代用できます。
じゃあなんであんなにペットショップに売ってるの?と思うかもしれないですが……
いぬまゆげ
はむほっぺ
でも、それを使うかどうか選ぶのは、あくまでユーザー側です。毎年のどにお餅を詰まらせて亡くなる方がいるのに、お餅は販売禁止になったりしないですよね!
お風呂に入れる
人間はお風呂で温まるものですが、ハムスターは水が大の苦手です。体温調節がとても難しい動物で、体が濡れるとそこから大きく体調を崩す原因になってしまいます。
ハムスターのお風呂といえば、水でもお湯でもなく砂浴びをするのが相場です。
暖めるためではなく体をキレイにしてストレスを解消するためのものなので、どんなに温めてあげたくても(汚くても臭くても)お風呂は絶対NGです。
カイロ
擬似冬眠状態になってしまったもしもの時には、とっても役立つカイロ。タオルでくるんで体を温めるのに、とても効果的です。
でも日常的に使うには、一般的なカイロは最高63度にもなり、温度が高くなりすぎるので低温やけどの危険性が十分にあります。
それに、人間のように体温調整が得意ではないハムスターにとって、体温が上がりすぎる危険性もあります。使い捨てカイロは当然、温度が下がります。
防寒対策としてカイロを使う選択は、飼い主としてやっぱりできませんね。
ドライヤー
ドライヤーは、ハムスターの嫌いなものを2つ発生させる道具です。それは、風と大きな音。どちらもハムにとって、大きなストレスになります。
そもそも、肝心の「温風」にしても、それでハムスターの体温は変わりません。人間にとってはとっても温かいものですが、ハムの防寒対策としては全く使えません。
こたつ
こたつも、温度調整ができるとはいえ低温やけどの危険性がありますが、こたつならではのリスクでいうと、窒息と熱中症でしょう。
これは、布団の中から出られなくなったり、そのまま寝てしまったりしたことによっておこりうることです。
こたつの中にケージごと入れるようなことをする方はなかなかいないかと思いますが、冬場の部屋んぽや脱走には十分注意しましょう。
ちなみに、擬似冬眠からの蘇生を試みる時に、こたつの布団の端の方(ほんのり温かい程度のところ)で温めるのはとても有効だと言われていますね。
湯たんぽ
最後に、湯たんぽです。「なんで?温度も調整できるしとってもあったかいじゃん!」と言う人もいるかもしれません。
でも、お湯を入れたその時はよくても、時間が経つとかなり冷たくなる危険性があります。それに、触れていないと暖かくないので、室温を暖かくするものと併用する必要があります。
それなら、暖房だけでいいよね!
いぬまゆげ
まとめ
最後に、失敗しないために必要な防寒対策をあらためて確認します。一緒に、元気に冬を越しましょう!
【基本の防寒対策】
- エアコンの暖房を24時間使う
- 床材の量を通常の3〜4倍にする
- 暖かい寝床を用意する
- ケージをドアや窓から離れた場所に置く
- ケージを台の上など床から離して置く
- ダンボールや断熱材を敷く・囲う
- 毛布・バスタオルなどでケージを覆う
【注意が必要な方法】
- 電気毛布
- パネルヒーター
【やってはいけない防寒対策】
- わた
- お風呂に入れる
- カイロ
- ドライヤー
- こたつ
- 湯たんぽ
以上、はむどっぐ(@hamudog5)でした!